医介連携のスタート地点はケアマネが握っている
病院の中には地域連携室と呼ばれる部門があり、医療総合相談や退院支援とその調整を行っており、在宅復帰率やベッド回転率の調整、
加算取得による収益的貢献等、急性期医療の効率化や質の向上・医療機関の機能分化・連携という視点以外の経営戦略的な意義を持って
仕事をしています。
前回の記事でも紹介しましたが、地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟では在宅復帰率が経営上重要な指標となっており、
急性期病棟では、14日以内の退棟(退院含む)により加算を最大値で算定できる(以降期間は約6割減少)ため、ベッドコントロールは
経営上非常に重要なマネジメントとなる訳です(これを実現するだけの医療の質も重要:制度はこれを意図的に競合させている)。
この、経営上重要なマネジメントを達成するためには、病院が医療だけではなく介護も一部担っていく方が効率的で、高い収益性を確保
することができます。
そのため、同一医療法人でケアマネ事業所を持ち、訪問事業を整備し、通所リハを併設した老健を病院と併設しない場所で整備したり、
入居施設を整備したりしているのです。
そうすれば、地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟の管理も外的要因による不完全性を一部排除し、内部である程度の管理を
行うことができます。
つまり!!
・病院は、医療の中である程度の内部補完ができている
・病院の中で医介の機能分化は一部達成されている
ということです。
地域連携室のMSWに数あるデイサービスが直接利用調整をしても、その機能をMSWは同一法人内の居宅に分化させている可能性
があるため、本質的な意義を見出すことは難しいでしょう(MSWからデイの調整連絡が直接は来ないでしょう)。
だとしたら、直接営業に行くべきはデイサービスの管理者をはじめとする外渉担当者ではなく、以下の担当者であるべきです。
・小多機、看多機、グループホームなど内部にケアマネが配備されているサービスの管理者もしくはケアマネ
・サ高住など、院内のケアマネが複合的に活用できる住宅
・法人内の全事業所を含む地域のあらゆる事業所の調整・連絡が可能なケアマネもしくは営業担当者
つまり、稼働率を高めるための病院営業に重要なのはケアマネなんです。
配置基準としてケアマネが配備されているような事業所(小多機・看多機・グループホームなど)であれば、MSWが直接調整できますし、
サ高住も居宅と連携しながら調整が可能です。自法人のケアマネが調整人数的に難しい場合や困難なケースであれば、自法人のケアマネと同じ
ようにスムーズな連携ができる事業所に連絡がいくでしょう(つまりMSWの工数がかかるような事業所に連絡はこない)。
だからこそ、上記に挙げた事業所の担当者は、「私に任せておけばオールOK!」という風に営業をかけて、信用を勝ち取る必要があるの
です。なぜなら、病院の中で医介の機能分化は一部達成されているからです。
であれば!重要なのは法人内でケアマネを採用する事です。
当社が介護事業所を運営する地域では、ケアマネ事業所が160件、全国平均的に居宅当たりのケアマネ数を3名とすると、ケアマネの総人数は
480名、1人あたりのプラン数を40件とすると、対応できる利用者数は19,200件・・・
地域にある事業所数で商算してみてください。全然足りてないんです。
そんなケアマネさんも、病院や老健での採用が加速しています!!
病院で採用出来れば、医介連携が円滑に行えますし、老健内にケアマネを整備すれば、高い収益性が確保できます。
老健に関する記事はこちら
それ故に、良い条件でケアマネを同一法人内で確保しようとする動きが見られています。
そうなると、資源に限界はありますから、病院を持っていない介護事業所はかなり外的要因による影響を受けることになります。
今回の記事では、先述してきた内容のもと
・ケアマネが病院と連携するメリット
・ケアマネを採用するための労働条件や方法の提案
これらについて解説をしていきたいと思います。
ぜひ、貴法人の運営の一助となれば幸いです!