【サービスの質向上】自宅での入浴支援(2)自宅でのチェック・訓練・介助のポイント
「実際に入浴のシミュレーションをする」「実際に自宅で入浴をしてみる」ことで、必要な環境を確認します。
環境設定では以下の点にも注意が必要です。
「実際に入浴のシミュレーションをする」「実際に自宅で入浴をしてみる」ことで、必要な環境を確認します。
環境設定では以下の点にも注意が必要です。
報酬削減の第一標的
通所系サービスは事業所数が多いため報酬額も大きく、報酬削減の第一標的となっています。
過去に、大規模デイの増加抑制のため規模別単価が導入されました。
その後、他業界から小規模デイへの参入が相次いだため小規模デイに対する報酬抑制が実施され、次いで、午前1単位・午後1単位の1日2回転のデイが増加したためADL維持等加算の算定条件等による抑制が行われました。
令和3年度は再び大規模デイが標的となり、給付管理での単価計算が変更されました。
規模別単価については、厚生労働省の会議の中でも「国は介護の効率化と言いながら、デイの規模を大きくして効率化したら報酬を下げる。言っていることとしていることが違うではないか」との反論が必ず出ていたのですが、今回の給付管理での改定については、ほとんど反対意見がでなかったのは不思議でした。
近年、報酬単価削減や職員不足等の影響で事業所数の伸びは停滞していますが、通所リハは年2%の微増を継続しています。
その要因としては、診療報酬での外来リハの締め付けと介護分野へのリハ移行推進、短時間デイケアの優遇等が考えられます。
早期に低下する機能の刺激・活用
早期から低下する機能を刺激・活用する
介護分野での認知症予防で中核となる方法は、早期から低下する脳機能を刺激・活用することで、低下の遅延化、維持・改善を図ろうとする方法です。
認知症に初期に低下する機能には、以下の機能が知られています。
デイでの訓練は自宅での入浴の自立を目指すために行います。
そのため、自宅の浴室などの環境を確認し、自立した入浴のために必要な環境整備の助言や介助方法の指導などをする必要があります。
まずは、一般的な家庭の浴室の特徴などについて理解しておきましょう。
感覚について
私たちは、光や色、音、温度、重力など、常にさまざまな感覚の刺激を受けています。
これらのさまざまな感覚刺激が、意識の維持や運動の発現の源になっています。
また、運動中も「感覚からのフィードバック」というシステムがあるがゆえに、より正確な運動が可能となります。このように、運動・行為と感覚は切っても切れない関係にあります。
感覚は、目や耳、皮膚などにある感覚器から入り、色や形、音、接触などが知覚され、脳の連合野でそれが何であるか認知されます。
感覚は、認知機能とも切っても切れない関係にあります。
認知症になるとさまざまな感覚機能が低下することや、さまざまな感覚刺激が症状緩和に役立つことが分かっています。
認知症予防においても感覚に注目した活動が大切です。
認知症などの影響で入浴が苦手な方、介助を嫌がる方も多くいます。
そのような方には声かけや介助方法を工夫して、できるだけ心地よく入浴してもらえるようにしましょう。
【1】介助の質を高めるアプローチ
【2】服を脱ぐのが苦手な方へのアプローチ
【3】移動や基本動作が苦手な方へのアプローチ
【4】お湯をかけるのを嫌がる方へのアプローチ
【5】洗体関連のアプローチ
【6】湯船の中から立ち上がれない人へのアプローチ
【7】その他のアプローチ
生活不活発病
【1】呼称の変更「廃用症候群」→「生活不活発病」
【2】生活不活発病は「身体面」「精神面」「社会面」で発生する!生活全般での活動低下は、生活不活発病を引き起こし、認知症発症のリスクになる
【4】生活不活発病の原因は①不活発なケア提供、②過剰介護、③無知による不刺激 など
【5】生活不活発病の予防・改善は、「スタッフの意識」「環境」「ケアでの工夫」が必要
なぜ「生活密着型」なのか
今まで認知症予防活動として、さまざまなものが提案されてきました。
なぜここで「生活密着型」認知症予防を提唱するのでしょうか?
その主な理由を以下に3種類挙げます。
<生活密着型の理由>
(1)介護は生活を支援するサービスである
介護は生活を支援するサービスであり、介護の対象となる分野は生活です。
認知症予防でも、介護における認知症予防の場合、中心となる視点は生活となります。
医療であれば、注意機能、記憶機能などの機能が改善すれば目的は達成されるかもしれませんが、介護の場合はそれだけでは不十分で、生活面での改善が求められます。
(2)認知症は高次脳機能障害により生活に支障を来した疾患である
認知症の診断基準は、高次脳機能障害(記憶障害、失語・失行・失認・遂行機能障害など)により生活に支障を来している状態となっています。
このことから、認知症予防では、「高次脳機能障害の改善」及び「高次脳機能障害があっても」生活に支障を来さないようにすることの2つの考え方ができます。
(3)要素のみの訓練では他の生活行為は改善しないことが分かっている
身体を使う行為はすべて、「その行為そのものを反復練習する」必要があります。
イギリスの大規模研究で、計算やパズル、読み書きなどの要素を練習しても、実際の日常生活改善への転化は見られないことが判明しました。
毎日、漢字ドリルや計算をしても、それだけでは日常生活の改善には直結しないのです。
例えば、「筋力トレーニング」や「関節可動域訓練」といった要素訓練のみを何百回実施しても、サッカーや野球は上達しません。
サッカーや野球の上達には、サッカーや野球そのものを練習する必要があります。
認知症の場合も、個別の要素だけでは実際の行為・活動は上手になりません。
要素訓練にプラスして、実際の行為・活動を訓練しなければいけないのです。
改善したい行為を正常に遂行する上で必要な要素を分析し、その要素を訓練した後で実際の行為を訓練する必要があります。
その際、実際の行為訓練は、段階的に難易度を上げていくようにするとよいでしょう。
目標の種類
目標には、「時間的な分類」によるものと「空間的な分類」によるものがあります。
時間的な分類による目標は、「長期目標」、「短期目標」等です。
空間的分類による目標は、「全体目標」「部署目標」「居宅サービス計画書の目標」、「通所介護計画書の目標」などです。
達成までに時間がかかる一つの目標を設定して、それを達成しようとするより、その過程をいくつかの段階に分けて、各段階で目標・期間を設定する「ショートステップ法」のほうが、最終的な目標の達成率が高くなることがわかっています。
そのため、介護、個別機能訓練でも、長期目標と短期目標を立てることが求められています。
全体目標、部署目標も同様に、チームで一つの目標に向かって連携する際、それぞれが役割を明確にし、それぞれの中で目標を設定するほうが、チームとしての目標達成率が高まります。
その際大切なことは、それぞれの部門の目標が全体目標と同じ方向・ベクトルを向いていることです。
計画との整合性
訓練の流れで出てきた「アセスメント」は、各種情報を収集し、それらの情報を分析して、介護の視点から本人に必要なこと(ニーズ)※ を把握することです。
この際の各種情報収集には、本人からの直接聴取や他事業所からの情報伝達などいろいろな方法があります。
※ここでは、本人の希望・要望とニーズを明確に区別しています。
例えば、アルコール依存症の人の希望を聞いたとき、「お酒が飲みたい」は本人の希望・要望ですが、ケアの視点から本当に必要なこと(ニーズ)は、「お酒を断てるようにする」ことです。
このように現場では、本人の希望とニーズが異なることも多いため、希望・要望(ウォンツ)とニーズは区別すべきです。
評価には以下のようなポイントがあります。