安全運転管理者におけるアルコールチェックの義務化について

2021.12.27

令和4年4月から、安全運転管理責任者選任事業所におけるアルコールチェックを義務化することが、警察庁より発表されました。

安全運転管理者の業務の拡充|警察庁Webサイト (npa.go.jp)

そのため、令和4年4月1日より、安全運転責任者は


・運転者の運転前後に酒気帯び有無を目視等で確認

・確認内容は記録し、1年間保存


これを実施することが必要となります。

送迎マニュアル等に記載し、当該事業所社員に義務化事項について周知・遵守させる必要があります。

事務負担が増えすぎないよう、既存の送迎表や送迎日誌等をうまく活用することも視野に入れて取り組んでいくことも大切です。


また、この改正内容は令和4年10月1日より、以下の内容に更新されます。


・運転者の前後に酒気帯びの有無をアルコール検知器を用いて確認

アルコール検知器を常時有効に保持する


すなわち、アルコール検知器を当該事業所で整備し、検知器を活用した管理・記録を実施する必要が出てくるわけです。

今は、法人が体制を整えるための猶予期間であり、10月に忘れず検知器を用いた確認業務ができるよう、準備は進めておきましょう。


これらの改定業務について、実施しなかった場合の直接的な罰則は設けられていませんが、

都道府県公安委員会による解任命令の対象及び命令違反に対する罰則(行政罰も含む)が科せられる可能性はあります。


社員が酒酔い状態であることを知りながら、上司が社用車の運転を指示した場合には、使用者や管理者は車両提供者として以下の刑事罰に科せられる可能性があります。

道路交通法第75条(自動車の使用者の義務等)と関連法令、判例 - 無料で法律、判例検索 - とある法律判例の全文検索β (thoz.org)


・酒酔い運転:5年以下の懲役または100万円以下の罰金

・酒気帯び運転:3年以下の懲役または50万円以下の罰金


さらに、社用車が加害事故を起こした場合は、運転者本人が不法行為責任に基づく損害賠償(民法709条)の責任を負いますが、

会社にも使用者責任に基づく損害賠償(民法715条)の責任が生じることを理解しておきましょう。


また、企業ブランディングの低下による顧客離れから、株価下落や人材流出についても発生する可能性があります。

今、何も起きてないから大丈夫だろう!と思ってしまう気持ちも分かりますが、失うときは一瞬です。

ご利用者のインフラサービスを守り続けていくためにも、改定内容を遵守し、安心・安全な送迎業務を実施していきましょう。