中小賃上げに60兆円投資(政府)
2025.05.17
政府は、国内の中小企業の賃上げと生産性向上を促進するため、今後5年間で総額60兆円(約4000億ドル)の官民投資を行う方針を示しました。
この施策は、労働者の約70%が中小企業に従事している現状を踏まえ、賃金の底上げと経済の持続的成長を目指すものです。
要約
この投資計画は、石破茂首相の経済諮問会議が提案したもので、物価上昇を上回る実質賃金の安定的な増加(年間1%以上)を目標としています。
具体的には、中小企業のデジタル化や自動化の推進、M&A(合併・買収)の支援を通じて、企業の競争力と生産性を高めることが狙いです。
また、大企業による下請け企業への価格圧力を抑制するため、規制の強化も検討されています。
さらに、政府は中小企業よりも規模が大きい「中堅企業」(従業員2000人以下)を新たに定義し、これらの企業に対しても支援を強化する方針です。
中堅企業は、全企業の約0.3%を占めるものの、雇用者数の1割、売上高の2割を担っており、地域経済において重要な役割を果たしています。
政府は、2030年までに中堅企業の数を1万1000社に増やし、労働生産性を年10%以上向上させる企業を倍増させることを目指しています。
これらの施策は、岸田前首相が掲げた「新しい資本主義」戦略を継承し、デフレからの脱却と所得分配の改善を図るものです。
政府は、これらの方針を6月に発表予定の経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に盛り込み、具体的な政策として実行に移す予定です。