外国人材の特定技能に3分野追加

2025.05.17

政府は、外国人労働者の受け入れを拡大するため、「特定技能」制度の対象業種に新たに3分野を追加する方針を示しました。

追加されるのは、物流倉庫の管理、廃棄物処理、リネン製品の供給の3業種で、これにより対象業種は19に拡大されます。

制度変更は2025年12月の閣議決定を目指し、2027年からの実施が予定されています。



要約


これらの業種は、いずれも深刻な人手不足に直面しており、特にリネン製品の供給業では有効求人倍率が4.3倍に達するなど、国内人材の確保が困難な状況が続いています。

物流倉庫管理や廃棄物処理業でも同様に高い求人倍率が報告されており、外国人労働者の受け入れが期待されています。


新たに追加される3業種は、まず「特定技能1号」として受け入れが開始される見込みです。

特定技能1号では、通算5年間の在留が可能で、家族の帯同は原則として認められていません。

技能の習熟度や業務の性質に応じて、将来的には「特定技能2号」への移行も検討される可能性があります。


また、政府は現在の技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労」制度を導入する方針を示しています。

この制度では、外国人労働者が原則3年間の就労を通じてスキルを習得し、その後特定技能へ移行することが想定されています。

これにより、従来の技能実習制度に対する人権侵害の批判や労働環境の問題に対応し、より実効性のある制度への転換が図られます。


特定技能制度の拡大に伴い、受け入れ企業には外国人労働者に対する適切な支援体制の整備が求められます。

特に廃棄物処理業などでは、安全衛生管理や日本語能力の向上支援が重要となります。

厚生労働省は、外国人労働者の安全衛生管理に関する手引きを公開しており、企業はこれを参考に適切な教育・訓練を実施することが推奨されています。


今回の制度改正は、深刻な人手不足に対応するための措置であり、外国人労働者の受け入れ拡大が期待されています。

一方で、受け入れ企業には適切な労働環境の整備や支援体制の構築が求められ、制度の円滑な運用が課題となります。

政府は、今後も関係者との協議を重ねながら、制度の具体化を進めていく方針です。


既存の16分野


介護分野

身体介護や生活支援など、利用者の心身の状況に応じた介護業務。


ビルクリーニング分野

建築物内部の清掃業務。


工業製品製造業分野

機械加工、金属加工、電気電子機器組立て等の製造業務。


建設分野

土木、建築、ライフライン・設備工事等の建設業務。


造船・舶用工業分野

船舶の製造・修繕、舶用機器製造等の業務。


自動車整備分野

自動車の日常点検・定期点検整備業務。


航空分野

空港グランドハンドリング、航空機整備等の業務。


宿泊分野

フロント、企画・広報、接客業務等の宿泊業務。


農業分野

耕種農業、畜産農業等の農業関連業務。


漁業分野

漁業、養殖業等の漁業関連業務。


飲食料品製造業分野

飲食料品(酒類除く)の製造・加工業務。


外食業分野

飲食店での調理、接客等の業務。


自動車運送業分野

トラック運転等の自動車運送業務。


鉄道分野

鉄道車両の運転、保守、駅務等の業務。


林業分野

森林の育成、伐採、搬出等の林業関連業務。


木材産業分野

木材の製材、加工等の木材産業関連業務。