【法制審議会】成年後見制度の見直し…中間試案
2025.06.13
2025年6月10日に法制審議会が取りまとめた中間試案では、成年後見制度の抜本的な見直しが提案されました。
最大の特徴は、現行制度における「終身制」からの脱却です。
これまで一度後見が開始されると、被後見人の判断能力が完全に回復しない限り終了できない仕組みでしたが、今後は必要性がなくなれば途中で終了可能となる柔軟な運用が導入される方向です。
さらに、特定の法律行為に限定して後見を受ける仕組みも新設される見通しです。
これは、すべての生活判断を代行されるのではなく、例えば不動産取引や契約など、必要な範囲だけに支援を絞るものです。
これにより、本人の自律的な意思決定を最大限尊重しつつ、必要な支援を受けられる仕組みが整えられます。
また、現行制度では「後見」「保佐」「補助」という3類型が厳密に区分されており、手続きも煩雑でしたが、今後はそれらを柔軟に組み合わせて利用できる制度への転換が図られます。
これにより、本人の判断能力の程度や生活状況に応じて、最適な支援が行えるようになります。
加えて、後見人の役割や活動についても見直しがなされ、定期的な評価や専門職によるフォローアップが組み込まれることで、支援の質と透明性が高まると期待されています。
地域包括支援センターや専門職との連携による相談体制の強化、制度の周知・啓発も図られ、制度利用のしやすさと信頼性の向上が目指されます。
これらの改正案は、本人の尊厳と意思を最大限尊重する観点から、利用者主体の仕組みへと成年後見制度を進化させる大きな一歩となるものです。
今後の法案化に向けて、さらなる議論と国民の理解が求められています。
【情報提供元】
法制審議会民法(成年後見等関係)部会第21回会議(令和7年6月10日開催)