過剰介護について

2021.07.13

【過剰介護が望ましくない理由】

「過剰介護」は、本人の残存機能を発揮する機会を奪うことになり、その状態が続くと、機能が低下する「生活不活発病(廃用性症候群)」が発生します。

例えば、自分の力でイスから立ち上がらないでいると、徐々に下肢の筋力が落ちてきて、やがてはイスから立ち上がれなくなってしまうなどが挙げられます。

生活不活発病による機能低下で、今までできていたことまでできなくなってしまうのです。




【過剰介護を側面から考える】

■身体機能の側面

例)自分でベッドから起き上がれるのに、手伝う方が早く済むので、つい起き上がりを手伝ってしまう

■認知機能の側面

例)時の見当識が低下し始めている人に対して、職員が

「12時になったのでお昼の時間ですよ」と教えてしまうと、時計を見て時間を判断する機会を奪ってしまう


【過剰介護の発生原因】

(1)自分たちの手間を省きたい[時間がない、待てない、見守れない]

(2)リスク回避[危ないので、やってしまう]

(3)相手が喜ぶ、相手からの要求[してあげると相手が喜ぶから]

(4)組織の慣習[今までそうしていたから]

(5)誤解[してあげることが仕事だと思っている]

(6)アセスメント能力不足[相手の能力をきちんと把握できていない]

(7)無知

(8)無関心

(9)その他


介護は、その人の生活・人生を支援するサービスです。

「何を大事にするべきか」を総合的に考慮して介護することが重要です。

過剰介護の防止は「自分ができることは必ず自分でしてもらう」ということではありません。

本人の生活や人生での優先順位を考えて判断することが大切です。