認知症ケアの7つの視点
2021.07.28
認知症の方へのケアでは、認知機能などの低下をできるだけ防ぐとともに、低下しても安心して生活が続けられるよう支援することが大切です。
そのためには、本人の残存能力を最大限に生かし、ケアの方法や環境設定などを工夫する必要があります。
その際は、以下の7つの視点で考えましょう。
【1】共通の基本介護
<基本的ケアの例>
・おだやかな笑顔で接する
・ゆっくりと近づく
・相手の目を見て、正面からゆっくり、はっきり話す
・足腰の老化を防ぐために、積極的に「歩く」「足を動かす」(廃用症候群の予防)
・相手を尊重し、話をよく聞く(傾聴・共感・触れる)
・できることは自分でしてもらう
・褒める、感謝する
【2】環境設定、かかわり・介助の工夫
環境設定、かかわり・介助の工夫により、不安感の軽減、行動変容などにつなげます。
その際「認識力低下への対応の視点」と「遂行力低下への視点」がポイントとなります。
【3】残存機能の活用
残存機能の低下を防ぐために、「各機能を使う・各機能が働く場面」をつくります。
手続き記憶を生かし、昔していたことや日常的に行っていることなど、自然とその動作ができるものを行うとよいでしょう。
<残存機能の活用例>
・各機能を使う場面を増やす
・できることをしてもらう
・昔していたことをしてもらう(手続き記憶を生かす)
【4】認知機能の訓練・リハビリ
単にできることをしてもらうだけではなく、改善する可能性がある機能を、訓練・リハビリすることによって最大限改善することが大切です。
<認知機能の訓練・リハビリの例>
[1]見当識(時・場所・人)
[2]記憶(短期記憶、記銘)
[3]注意(注意の分割)
[4]遂行機能
[5]自己認知(身体、環境、能力、自己)
[6]その他
【5】BPSDの解消・改善
BPSDは、何らかのきっかけがあって出現します。
したがって、BPSDは「原因(きっかけ)」を推測し、原因に対しアプローチします。
転倒や暴力など本人・他者に危険がある場合は、対症療法(投薬など)や対症ケア(職員が止めに入る)で対応する場合もあります。
原因を推測する際に「PACEP」という指標を活用します。
※PACEPとは、BPSDの発生過程を推測する際のヒントとなる指標で、身体状況(PhysicalState)、活動(Activities)、コミュニケーション(Communication)、環境(Environments)、心理状況(Psychological State)の頭文字を取ったものです。
【6】活動・参加の支援
通所介護や通所リハビリの場で訓練やリハビリをすることが目的・目標ではなく、自宅での活動・参加、さらに地域での活動・参加を具体的に改善することが、本来の目的・目標です。
【7】目標の達成
通所介護計画書、通所リハ計画書には、目標と目標達成に向けてすることを書きます。
生活・人生を豊かにする(QOLが向上する)目標を立て、それを達成することが必要です。