介護現場で想定されるさまざまなリスクの例

2021.12.16

実際に起きた事故例

リスクマネジメントそのものは、人が「リスクを思いつく」ところから始まります。

なぜなら、事業所やスタッフが想定していないリスクは、対策も想定できないからです。

そのため、リスクマネジメントではまず、発生し得るさまざまなリスクを思いつくことが大切です。

したがって、介護現場では、その時その時に応じて「発生し得るリスク」を想定できる職員を育成することが重要です。

それぞれの例についてあなたの施設ならどう予防するか、発生したらどうするのか考えてみましょう。




【事故事例(一部)】

(1)施設で園芸活動としてミニトマトを栽培していたところ、利用者がそのトマトを食べてのどに詰まらせ、窒息した

(2)昼寝中に施設のベッドから転落しベッドサイドに置いてあったごみ箱に頭がはまり、首をひねって四肢麻痺になった

(3)介護予防事業のプログラム実施中に、片足立ち時間を計測していた参加者が転倒して、大腿骨頸部を骨折した

(4)デイのレクでベンチサッカーをしていたところ、自分が座っていたイスを蹴ってしまい、足を骨折した

(5)レクで床に座って綱引き大会をしていた際、綱を引っ張ったときに前の人の肘が後ろの人の胸に当たり、肋骨を骨折した

(6)顔を洗った後にタオルを肩に回そうとした手の指が、後ろにいた利用者の目に当たり、目に傷がついた

(7)クラフト制作をしているとき、白い木工用ボンドを生クリームと間違えて口に入れ、食べてしまった

(8)入浴で髪を洗おうとした利用者がお風呂場に置いてあった浴槽洗浄剤をシャンプーと間違えて頭にかけてしまった

(9)デイの利用者同士でけんかになり、一方の人が殴られて怪我をした

(10)日ごろから仲の悪かった入所者同士がけんかになり、一方の人が近くにあった消火器で相手を殴り殺してしまった

(11)デイ送迎中、利用者の庭で車の向きを変えているときに、庭にいたその家の飼い犬をひき殺してしまった

(12)グループホームの台所で調理中に、コンロの火が袖に燃え移り、やけどをした

(13)湯温の設定が39℃だったので、そのまま入浴を開始したところ、温度表示が壊れていて、実際の温度は60℃以上だったため、全身やけどを負い死亡した

(14)複数の利用者と職員2名で近くの店に買い物に出かけた際、今まで転倒したことがない人が転倒し、大腿骨頸部骨折を負った(職員は2名とも他の利用者と話しながら歩いており、転倒するまで気がつかなかった)

(15)おでんのコンニャクを小さくちぎったものを食べていただき、少しのあいだ他の人の食事介助をして、再びその方を見ると窒息していたので、口にあるものを掻き出し、救急車を呼んだが死亡した

(16)職員が居酒屋で、面白おかしく利用者の真似をして笑い合っていたところ、他の客に警察に通報され、新聞記事でも報道された

(17)利用者が施設で飼っているペットから人畜共通感染症が感染し、入院しなければいけなくなった

(18)風呂上がりのバスマットを共用にしていたため、ご利用者が水虫に感染…「デイに行ってから水虫をうつされた」と利用者の家族から苦情が出た

(19)施設でボランティアや地域の方を受け入れていたが、入居者の家族から「自分の家族が施設に入っていることを知られてしまったので、もう外部の人を入れないでほしい」というクレームを受けた

(20)女性入居者が他の男性入居者に襲われ、怖くて眠れなくなった

(21)入居者が居室の照明器具に洗濯物のタオルをかけて干していたところ、タオルが燃えて火事になりかけた