【傍聴報告】第223回社会保障審議会介護給付費分科会
2023.09.08
2023年9月8日(金)に「第223回介護給付費分科会」が開催され、傍聴したので報告します。
今回のテーマは以下の4つでした。
【1】介護人材の処遇改善等
【2】人員配置基準等
【3】介護現場の生産性向上の推進/経営の協働化・大規模化
【4】外国人介護人材に係る人員配置基準上の取り扱いについて
各テーマの論点は以下の通りです。
【1】介護人材の処遇改善等
[論点]
◼介護の現場で働く方の確保に向けて、どのような方策が考えられるか。
特に、
・処遇改善のための措置をできるだけ多くの事業所に活用いただき、現場で働く方に届くようにする観点
・新規人材の確保、適切な業務分担の推進、やりがいの醸成
・キャリアアップを含めた離職防止や、職場環境等要件に基づく取組について、より実効性のあるものとしていく観点
上記から、どのような方策が考えられるか。
ほぼすべての委員会から、介護人材の処遇改善の必要性が訴えられました。
更なる拡充としては、加算の拡充、基本報酬の拡充、対象職員の拡大などの意見が出ています。
処遇改善の3加算については簡素化を求める意見が多かったです。
自治体の委員からは、中山間部の人材確保について、別途財源確保を推進してほしいなどすでに困窮している切実な現状が推測される意見が出てました。
すでに他の産業で大幅な賃金アップがなされている中、介護では1.4%のアップにとどまり、他産業との賃金格差が拡大傾向にあるため、大幅なアップを求める声が多く出ました。
また報酬改定が無い中間年についても、物価スライドなどでの対応を求める意見が出ました。
【2】人材配置基準
[論点]
■今後も高齢化の進展による介護サービス需要の増大、現役世代の減少に伴う担い手不足が見込まれる中で、提供する介護サービスの質の担保に留意しつつ、柔軟な働き方を可能としていくため、またデジタル原則への適合性の観点から、どのような方策が考えられるか。
■あわせて、いわゆるローカルルールへの対応について、実態の把握を含めどのような方策が考えられるか。
配置基準では、ローカルルールの統一・明確化を求める声が複数出ました。
管理者等の兼務については、人材不足から緩和希望の意見が何人かの委員から出ましたが、同時に管理者も現場業務をしていることや利用者サービスの質の保持観点から、慎重に進める意見も出ました。
【3】介護現場の生産性向上の推進/経営の協働化・大規模化
[論点]
■地域の実情等を踏まえた経営の協働化・大規模化の推進について、どのような方策が考えられるか。
生産性の向上の定義を明確にし、周知することが必要との意見やアウトカム評価もその考えと一致させるべきとの意見が出ました。
一方でICTの活用をもって人員基準の緩和をすべきではないとの意見が複数出ました。
また利用者の視点からその効果を判定することも必要との意見が出され、効果の有無によりICT、ロボットまでへの補助レベルを変えるべきとの意見も出ました。
連携については、大規模化、協働化の推進意見や小規模法人の役割・機能へも注目すべき、地域連携、全国展開の法人など形によって効果を見ていく必要があるようなど、様々な意見が出ました。
【4】外国人介護人材に係る人員配置基準上の取り扱いについて
[論点]
■EPA介護福祉士候補者及び技能実習生について、介護サービスの質の確保等に十分に配慮した上で、就労開始直後から人員配置基準に算入することについてどう考えるか。
6ヶ月間は人員基準に入れられないことについて、基準に入れるべきとの意見が多く聞かれましたが、サービス提供体制強化加算での分母に組み込まれるなどの視点から、6ヶ月間は法人判断とすべきとの意見も出ました。
また、配置基準に入れることについては慎重にすべきとの意見も出ました。