倒産・破産する事業者が相次ぐ

2022.06.27

新日本通算株式会社は、住宅・アパート建築、不動産業を主業務としていましたが、土地所有者(オーナー)からサービス付き高齢者向け住宅の建築を請け負い、25~36年のサブリース契約を請け負うビジネスモデルを構築しました。

更に訪問介護、ショートステイなどの介護保険サービスにも参入し県内外で37施設をもち、山梨県トップの実績を誇っていましたが、一部のサービス付き高齢者向け住宅の入居稼働率が低下。

また、職員の増員による固定費の増加などで、資金繰りがうまくいかずに倒産しました。



こうした中、サービス付き高齢者向け住宅のオーナーらが未払い賃料の支払いと建物の明け渡しを求めて甲府地裁に提訴していました。

今回、施設のオーナーなどが費用を融資した住宅金融公庫と県民信用組合に対して、詐欺的な取引と認識していたにもかかわらず、融資審査を全く機能させていなかったことが判明。

国が規制権限を行使すれば損害の発生を防ぐことができたとして機構、組合、国などを相手取りおよそ10億7300万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こしました。


■東京商工リサーチ、帝国データバンク資料より

設立当初は、住宅・アパート建築、不動産業を主な業務としていたが、大手との競合激化などでアパート建築が伸び悩む中、2007年からサービス付き高齢者向け住宅事業に進出しました。

土地所有者(オーナー)から高齢者住宅の建築を請け負うとともに、25~36年程度のサブリース契約を締結するビジネスを展開。

2011年に第一号施設を甲府市内に開設し、さらに居宅介護や訪問介護、ショートステイなど介護事業にも本格的に参入。

2014年の福井を皮切りに静岡、埼玉など県外にも事業を展開し、一時期はサービス付き高齢者向け住宅、ショートステイなどを県内外で37施設を構え、山梨ではトップの実績を誇っていました。

高齢者向け住宅の建築と介護事業をセットとするビジネスモデルで急成長し、2018年8月期にはピークとなる売上高約29億3000万円をあげるなど、ここ5年で売上高は倍増していました。

しかし、事業の急拡大による介護スタッフの増員などで固定費が急増し資金繰りが悪化。

2018年末には取引先への支払いが滞り、さらに2019年には介護スタッフへの「介護職員処遇改善加算」の未払い、サービス付高齢者向け住宅のオーナーへの賃料の延滞なども発覚していました。

2019年8月期の年売上高は約9億9000万円に対し、当期純利益は約10億4700万円の欠損となっていました。

こうした状況下で一部のサービス付き高齢者向け住宅の稼働率が計画通りに推移せず、管理・運営に係わる諸経費などの支出先行により資金繰りが悪化。

建設工事の下請業者に対する支払遅延が発生し、訴訟問題にも発展するなど信用不安が表面化していました。

その後も抜本的な収益改善には至らず、金融機関の借入金に依存した資金繰りが続き、今後の見通しも立たず資金繰りが限界に達し、関連会社へ事業を譲渡し実質営業停止の状態になっていました。

2018年末に関連会社3社を設立し、サービス付き高齢者向け住宅事業、介護事業を株式会社ケアステーション新日本(TSR企業コード:130056693、法人番号:1090001015855、甲府市)、ショートステイ事業を株式会社ショート新日本(TSR企業コード:130056626、法人番号:2090001015854、甲府市)、不動産事業を株式会社JRC(TSR企業コード:130056758、法人番号:3090001015853、中巨摩郡昭和町)へ移管し、業容を縮小し、建築と在庫不動産の販売にシフト。

こうした状況の中、サービス付き高齢者向け住宅のオーナーらが、未払い賃料の支払いと建物の明け渡しを求め甲府地裁に提訴するとともに、破産を申し立てました。

なお、関連3社に対しては未払い賃料の提訴のみで破産の申し立てはなされていません。


有限会社ゴジュウゴ破産…負債総額は2億円


有限会社ゴジュウゴは1999年1月に広告代理店として創立しましたが、2003年ごろより介護に業態転換。

老人ホーム6ケ所、デイサービス1ケ所を運営していましたが、介護職員を確保するために高水準の待遇を強いられ、収益が低下。

2021年6月には粉飾決済が発覚しました。

そして、2022年5月2日に破産しました。


倒産…ハートケアライフ株式会社


ハートケアライフ株式会社は2009年に設立し、長野県佐久市で有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、天然温泉付きケアマンションなどの運営を手掛けていましたが、多額の設備投資が裏目となり、資金繰りが悪化。

2021年11月に事業停止、事後処理を進めて2022年3月31日に破産手続きの開始を決定しました。


月刊デイ編集長:妹尾弘幸の雑感


介護事業者、介護事業所の倒産・閉鎖が増加傾向にあります。

倒産・閉鎖の原因はさまざまですが、共通した要因として「職員不足・職員確保難」があります。

今後、社会保険料支払い基準の変更や最低賃金の上昇などにより、事業者負担が増加するガソリン代の高騰や電気代、食材費が上昇するなど更にに厳しい状況になります。

他産業の賃金も上昇しているため、処遇改善関係の加算の新設効果はほとんどなくなり、相対的に介護職の給与は低いままです。

飲食、宿泊などの各サービス業界での人材獲得活動が激化するため、介護人材不足に拍車がかかり、今後も職員不足による倒産・閉鎖する企業が増加するでしょう。