介護施設の人員配置基準を緩和へ4月から実証実験

2022.02.09

政府は2022年2月7日(月)の規制改革推進会議で、介護施設の人員基準の緩和の検討を開始した。

現在、介護施設の3:1の人員基準(利用者数:職員数)をITの活用等により4:1にできる案などを想定している。

介護の質、安全性の担保などについては外部機関の監査等の活用も視野に入れる。

人手不足への危機感は高まっており、内閣府幹部は、「外国人に頼れない事態もありうる」と懸念している。

ベトナムの派遣機関の運営者は「中国や韓国では日本より厚待遇の求人も出始めている。学生の日本離れが加速する可能性がある」とみている。

厚生労働省は今春4月にモデルとなる施設を選び、来年末には調査結果を出す予定としている。


月刊デイ編集長:妹尾弘幸の雑感


私は何年も前から「外国人従業者の日本離れ」について言及し、「外国人従業者に依存した運営システム」は危険と述べてきました。

ようやく政府関係者、派遣企業関係者もこのことについて言及するようになりました。

ICT活用による介護施設の人員基準の緩和は検討され始められましたが、危惧する点がいくつかあります。


(1)介護報酬削減につながる危険性

(2)少数化された職員の負担増による介護職の離職増に伴う、介護業界の人気低下で職員不足がさらに激増

(3)「介護」の医療化(バイタル、転倒予防、食事・排泄管理中心の介護になる恐れ)

(4)職員の能力低下(観察力などの低下の恐れ)

(5)情報システム破損時への対応(某町立病院では電子カルテのハッキングで業務崩壊)


ICTやロボットの活用は推進されるべきだと思うのですが、反面劇薬となり副作用を引き起こしかねないのでそれへの対応も重要となります。