【管理者・事務職員】介護事業所の経費削減方法

2022.05.17

先日、記事公開した国内インフレの加速化により、全国消費者物価指数は高止まりとなる可能性が高くなります。

少しばかりの情報ですが、全国の介護事業者が少しでも経費節減を達成できるよう、ノウハウを提供します。

とはいえ、「経費削減」とネットで調べれば、簡単に削減方法は出てきますので、それだけでは手に入らない

"だよりねユーザー限定"で情報をお届けします。今回は大きく分けて3つ紹介します。

・電気料金の削減

・車の買い方

・タスクコンバート


電気料金の削減


現在、石炭や天然ガスの輸入価格が高騰したことを原因に、"燃料費調整額"というものが値上がりし、電気代が高騰し続けています。

燃料費調整単価一覧表(低圧)|東京電力エナジーパートナー


さらに、"再エネ賦課金"という太陽光発電等の再生可能エネルギーを電力会社が買い取るための財源も、再生可能エネルギーの普及に合わせて高騰しており、

電気料金の高騰に拍車がかかっているのが現状です。


これらのコスト上昇を起因として、大手電力会社の中には、法人からの新規交渉を断り、標準価格での取引しかしないという強い姿勢を示す会社もあります。

正確な市場把握に努めるのは困難なことですが、今後中長期的に見て電気料金の高騰は続いていくと思われることから、値上げ対策を今のうちにしておいた

方が無難でしょう。


そもそも電気料金は次のように請求されます。



今までは、基本料金単価と使用電力量単価を価格交渉によって削減していましたが、それが難しくなってきました。

ただ、手っ取り早く電気料金を落とすには、ここを改善するのは効果的なので、一応皆さんの事業所でも"自由電力化"に伴う価格交渉はしてみてください。


① 現状の電力契約の契約書準備

② 過去3年分(なければ1年分)の請求書・使用料明細準備

③ 電力会社を複数ピックアップと調査

④ 見積依頼して価格競争させる

⑤ 業者決定


試してみて、断られたり値交渉に失敗した方、既に交渉済だけど今後の値上がりが不安な方はPPA発電を検討してみてください。

PPA発電とは、初期投資なしで自事業所の屋根に太陽光パネルを設置し自家発電を行いながら毎月の電気料金を安くしていく運用方法で、

今後トレンドになっていくと思われる発電方法です。



今後は、電力会社に対する価格交渉自体が効力を持たなくなってくると思われるので、自家発電の需要が高くなってくると思われます。

しかし、設備投資には大きなお金が必要ですし、効果が得られるか不安な方も多くいると思いますので、PPA発電を採用して、初期投資なしで

月々の電気料金を削減してきましょう。もちろん、現在払っている金額より高くなってはいけませんから、PPA事業者の選定と価格交渉は

しっかりと行いましょう。


車の買い方


結論、リースでの契約をおすすめします!

ただ、中長期的に見ると車は資産購入の方が金額的なメリットはあります。

毎年1万km走行して、10年間ノアを保有することを想定してみてみましょう。


このようにロングスパンで考えると、中古購入が一番賢く、リース車両購入が一番デメリットに感じますよね。

ただ、送迎車両を保有するってこんなリスクも潜んでいるんです。


① そもそも営業利益が車を現金で購入できるだけない

② 予期しない修繕費や点検費用がある

③ 不慮の事故や災害等で生じる買いなおし


①はとても重要で、18人定員の地域密着型デイが90%稼働で平均介護度1.5、26日営業だとすると、

年間の売上はおよそ5,000万円、利益率5%で250万円程度です。

年間で獲得した利益以上の金額投資を送迎車で失うのは、経営拡大の観点からみると良い判断とは言えません。

そこで、毎月のキャッシュフローを安定させ、経費を固定化できるリース車両購入は、財務管理にうってつけですよね。

年間約55万円ほどしか計上されないので、お金の小回りが良くなります。


②や③は運営していると"あるある"です。

車のことがあまり詳しくないのもいけないかもしれませんが、車のような専門的な分野って正直"分からない"んですよね(苦笑)

〇〇を直しましょう!とか言われても、「わ、わかりました~」みたいな感じで、確信を持てないし、急に30万円とか50万円とか

言われても困りますよね。だけど、送迎車が無いと運営に大支障をきたすので直さないといけない・・・

定期的に頭を抱えている担当者の方が多いのではないでしょうか?

そういった場合でも、リース車両で運用しておけば、突発的にかかる修繕費用がないので安心できます。

車両を管理している人間の人件費も無駄なので、外部に任せられてお得です。


タスクコンバート


経費の削減で最も効果的な方法がタスクコンバートだと思っています。

タスクコンバートには以下の種類があります。


① 自分がやっていた仕事を外部業者に任せる(アウトソーシング)

② 紙でやっていた仕事を電子化して効率化する(デジタイゼーション)

③ クラウドサービスを使用して場所を限定化しない働き方をする(スマートワーク)


企業で最も大きなコストを占めるのは人件費です。そして、これからはより少ない生産性人口で多くの

利益を生み出していかなければいけない時代です。

すなわち、平等に与えられた8時間という勤務時間を1人で何倍にもできる人間が重宝されます。



例えば、薬の手配はファーマシーなどの調剤薬局に任せたり、消耗品の手配は自分で買いに走らずにネットや地域の卸売業者に任せる。

請求業務は請求代行会社に任せ、集金業務は集金代行に任せる。

請求書の封入-発送を代行サービスに任せる。

OA機器や精密機器、車両、ソフトウェア等の管理が必要な材料については、POG契約ではなくFM契約やメンテナンスリースで任せていく。

請求書もエクセル等で作らず、記録-請求一気通貫ソフトを活用して出力したり、見積-請求-納品等の証憑が必要であればinvoyなどの画期的な

サービスを活用する。会議にはZOOMを活用し、連絡や情報共有はLINEや記録ソフトを活用する。


このように様々なことをタスクシフトしていけば、あっという間に少ない人数且つ短い時間で多くのタスクをこなすことができるようになります。

そして、属人化を防ぐことができ、誰でもその業務を行うことができるので突発的な繁忙や休みにも対応することができます。


まとめ


まだまだたくさんの削減方法や、削減のみならず管理しながら利益を上げて稼いでいく方法なんかもあるのですが、今回は大きくコストを削減したり

使えるお金を増やしたりできる3点を中心に紹介しました!

管理体制を大きく変えるには、かなりの努力が必要です。

反対をされることもあれば、良く分からないと拒否されることもあるでしょうし、めんどくさがられることもあると思います。

ただ、管理体制を大きく変えていくことはこれからの時代を生き残っていくには不可欠な行動ですから、勇気を持って一つずつ根拠を持ちながら進めていって

下さい。皆さんの活躍を心から願っています。