【入居施設契約UP】施設見学時に大切にしたいこと
2022.05.23
入居を検討しているご利用者が施設見学に来られた際に、心がけておきたい案内のポイントについて
実際に利用申込を獲得してきた経験を踏まえてお伝えできればと思います。
見学には来てもらえるが、なかなか入居に結びつかないとお悩みの方がいれば、この記事を参考までに
見ていただき、参考になった部分を取り入れていただけると嬉しいです。
施設見学の時間は課題解決の時間
施設見学に来られたご利用者やご家族に、施設の設備や機能について1から10まで説明して回りながら案内をするのは、
実はあまり良い方法ではありません。
なぜなら、入居を近々に迫られている家族やご利用者は、「施設の設備や機能」なんてものより、「今の私の状況を理解して」が先に来るからです。
「今の私を理解してくれているな」と思わなければ、担当者がいくらお話をしても、情報が右から左へと流れていくのです。
まずは、お時間をいただき、わざわざ足を運んでまで数ある施設の中から見学に来てくれたことに対して感謝の気持ちを伝えます。
その後、「いつ頃の入居をお考えですか?」と時期ニーズを伺いましょう。
将来的に入居を検討している方と、近々で入居を考えている方に同じ対応をしてはいけませんからね。
その後は、「相手に寄り添う」ということを1番に考え、以下の内容を丁寧に聞いていきます。
ここで重要なのは、事務的に質問を重ねていくのではなく、「当施設を検討していただいた理由はどこがポイントでしたでしょうか?」「今、生活されている中でお困り事がありますか?」「当施設にどのようなことを期待されていますか?」などを、話の中で
織り交ぜていきながら、自然とヒアリングをするのがコツです。
また、相槌は打ちすぎず、「そうだったんですね!」「分かります!」「大変でしたね!」「大丈夫です!」「すごいですよ!」
「なるほど!」「素敵ですね!」「勉強になります!」など、相手が前向きになるような言葉を添えるようにしましょう。
施設の内容よりも"担当者の雰囲気で話が動き出す"
もちろん充実したソフト面をPRしていくことは非常に重要ですが、結局はその担当者の対応で契約の大半が決まると
思っています。
① 対応は手厚く紳士的に
(手の先までピンっと美しく方向を示す、目線は合わせる、歩くペースはゆったりと、感謝の気持ちを伝える、椅子を引き座っていただく)
➔例えば、椅子に座っていただく際は、椅子をお引きして座っていただく、自施設の椅子であっても、私も腰掛させていただいて宜しいでしょうか?と許可を取り、
良いと言われたら「ありがとうございます。」と腰を掛ける。こういった気配りが心に刺さるのです。
② まずはお茶でも飲みながらヒアリング
いきなり施設を紹介しても、ニーズに合わない部分を紹介したり、相手の時間感覚と合わない対応をしてイラつかせたり、相手がネガティブな感情を持ってしまう
可能性が高いので、歩きながらでも構いませんが、まずは腰かけて入居時期や、困りごと、生活課題、ご利用者についての詳細等をヒアリングする。
情報を聞きながら、自施設で対応可能か、もしくはどうすれば対応可能になるかを建設的に考え、答えを用意しておくことが大切です。
仮に、答えが用意できなかったとしても、「前向きに行くよう考えたいので、この件については宿題にさせていただいても良いですか?」と持ち帰り、
「〇日以内に必ずご回答いたしますので」と回答までの期間をしっかりと伝えるようにしてください。
「分からない」「お応えできない」など、利用しようとしている人を突き放すような言葉は使ってはいけません。
自分の勉強不足で分からないのであれば、未熟さを素直に認めてお帰りまでにご回答させていただけるような対応を打ちましょう。
③ 見たい場所を見に行く
入居施設と一概に言っても、デイを併設している場合のサ高住や、入居施設単独であっても、「共有スペース」と「プライベートスペース」など、目的の異なる部屋はたくさんありますよね?ただ、それを闇雲に紹介しても意味がないんです・・・
中には、ヒアリングが終わった後に、「お部屋を見に行きたいわ」と共有部分そっちのけで「居室」を第一選択として見学希望される方もいます。
その方は、「お部屋」が見たいので、それ以外の内容を最初に案内されても「どうでも良い」ので、しっかり記憶として留めてくれません。
まずは、見たい場所を見に行き、「窓からお庭が見えますね、お庭も見てみますか?」や、「こちらは景色は良いですが北側なので、日当たりのいい南側のお部屋も
見てみませんか?」など、提案を重ねながら「見学者主導」で気持ちよく見学していただきましょう!
④ 見学後のティータイムでしっかり内容を固める
見学後には、ティータイムの時間を設けて見学内容を固めていきましょう。
まずは、椅子に腰かけていただき、「見学にご一緒できたことに対する感謝の気持ち」を伝えましょう。そして相手の疲れを心配する言葉を必ず
かけて、2種類以上の飲み物を選んで頂き、お茶菓子と共にゆったり過ごしましょう。
「そこまで?」と思う方もいるかもしれませんが、契約者あたりの入居費用が15万円/月だとすると、1名の契約は年間180万円の売上を作るのです。
とても高額で人生の掛かった買い物なわけですので、緊張感を持ってご丁寧に対応する姿勢が無ければ、入居を決めていただける訳がありません。
そこでは、今回の見学で決まったこと、今後の検討事項とスケジュールを明確にしてお伝えしましょう。
「お部屋は第一希望が〇号室、第二希望が〇号室で宜しいでしょうか?」
「ケアマネジャーさんにも今のサービスとの調整がありますので、連絡をさせていただきながらお話を進めさせていただいてもよろしいですか?」
「今週中に検討をさせていただき、〇〇様からいただいた駐車場契約の宿題と一緒に、〇日にお返事をさせていただきますが、よろしいでしょうか?」
など、今後どのように入居までが決まっていくのかを見学者にしっかり認識させてあげることが重要です。
相手の不安な気持ちをしっかりと取り除いて、利用の意思を仮申込書など書面で残すことが大切です。
また、お部屋が埋まれば〇ヶ月は空かないので、「今予約申込だけでもしておくのがおすすめです!」等のクロージングトークは有効ですが、事実に基づいて使ってくださいね。
⑤ ポテンシャルを示せる担当者がうまくいく!
ただ、真面目に淡々と施設を案内しているだけでは、相手の心は動きません。
しっかり相手の感情を動かせた担当者だけが、入居を獲得できるのです。
例えば、「お部屋は第一希望が〇号室、第二希望が〇号室で宜しいでしょうか?」と同意を取った後に、
「私の力が及ぶか分かりませんが、できるだけ第一希望でいけるように全力で調整します!」など、
私はあなたのためにできることはやりまっせ!という強さを示すことが大切です。
相手の意思がぶれていたら、しっかり相手の意思を固め直してあげたり、金額的な悩みだったら、
〇〇という選択肢もありますよ等の代替案や逃げ道を見せてあげたり、契約に直結させるためには、相手の
味方である立場を確立しないといけません。あとは、ボキャブラリーも大切です!
⑥ 最期も紳士的にお見送り
お見送りも"美しく"行いましょう!
靴を履き替える際のスリッパも、脱ぎ捨てていただき(そのままで結構でございますよと声をかける)、
靴は椅子に座って履いていただけるように配慮します。
座っている時は、もちろん自分も目線を合わせるために腰を落として、お話をしましょう。
施設の玄関を出られてお帰りになる際は、「本日は案内をさせていただきありがとうございました!」とお礼の言葉を申し上げ、
「またご連絡いたしますので、お気をつけてお帰り下さいませ!」「引き続きよろしくお願い致します!」等の声掛けを行い、
深々と頭を下げましょう。
相手の車が見えなくなるまで見送りをし、見えなくなって初めて見学対応が終了となります。
まとめ(全ては担当者の対応次第)
"見学に来る!"だったり、"試供品を試す"という顧客行動は、顧客の消費行動において最も重要なフェーズです。
なぜなら、このような行動を起こす顧客は既に"興味"があるからです。
マーケティングにおけるナーチャリング領域にある、この段階の潜在顧客は「検討」をしている段階です。
つまり、見学対応をする担当者は「検討されている」と思ってください。それと同時に「比較されている」とも思いましょう。
これを理解している担当者ほど、「ほかにも施設を見られたんですか?」「当施設と比較してどちらが良かったですか?」など、
比較対象の施設よりも上位にいこうと、お客様のヒアリングを怠りません。
もちろん、受け手側もハラスメントの疑いのあるような方を無責任に受けることは出来ないので、こちらが受けの姿勢で対応できないとダメです。高圧的で「できない」「これは禁じていて」などと説明する人は、本稿をお読みいただき自分自身を今一度見つめ直してプロとしての対応を心掛けてみてください。